学生さん
 夏の陽気で蒸し暑い。


 日本とは時差がある。


 十九時間の。


 あたしがニューヨークの現地時間で午後十一時頃に眠るときは、すでに謙太は翌日の午後六時で書き物が終わってビールを飲んでいる。


 あたし自身、疲労はかなり溜まっていた。


 だけど、夜眠る前に欠かさずメールする。


 彼もちゃんと打ち返してきた。


 新生活にも慣れていく。


 留学するのはほんの一年弱だ。


 あたしは今の留学先の大学で修士号を取ったら、帰国するつもりでいた。


 長い期間、アメリカに滞在する気はない。


 単にここで必要な単位を取って、修論を出せば、後は開告大のキャンパスに戻る。

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