学生さん
 普通の学部生はおろか、海外からの留学生も来ていた。


 助手だった浩太と美智香が揃って講師になる。


 同時にかねてより噂されていた結婚もしてしまった。


 すでにそのときに美智香のお腹の中には子供がいて、実際はでき婚だったのだが……。


 美智香は一応臨月まで働くつもりでいるようだ。


 大学職員というのはそういったことに関して自由が利く。


 あたしも他の学生も、浩太と美智香の結婚を祝福した。


 その頃、謙太はすでに月刊誌に四本の連載を持つ人気作家に躍り出ていた。


 彼は作家として怖いぐらい順当に進んでいる。


 文壇でも評価が高い。


 あの初の公募では特別賞までしかもらえていなかったが、大賞を受賞した作家よりも断然出世している。


 すでに若手の中では一番直木賞に近いとも言われていた。

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