学生さん
第31章
     31
 あたしは新学期からずっと大学に通い続けていた。


 さすがに院でも博士ぐらいまで行くと、授業らしい授業はほとんどない。


 代わりに、これからの三年間でどんな研究をするのかが問われていた。


 あたしは確かに博士論文が枚数が多いのを知っている。


 博士課程を出るまでに必要な単位を取って、無事論文を出せるのかが心配だった。


 だけど、案外ドクターコースというポジションにいると、毎日淡々と過ぎ去っていくのだ。


 あたし自身、朝早くから夕方までモモ研に詰めながら、研究を続けていた。
 

 やはりいずれ出さないといけない博士論文執筆に向けての資料収集に追われている。


 三ヶ月が経ったその年の七月の休みの日に、あたしは急に海を見に行きたくなった。


 街から北に自転車で二十分ほど走ったところにある。


 あたしは謙太にメールで連絡を入れた。


 <海見に行かない?>と。
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