学生さん
「俺。謙太」


 と声が返ってくる。


 あたしが安心して扉を開けた。


 そこにはかなり日焼けした彼が立っている。


「日焼けしたわね」


「ああ。執筆の合間に散歩もするからな」


「じゃあ、今から行こうよ」


「ああ。……君は今日は研究休みでいいの?」


「ええ。祝日で大学自体が休みだし、研究室は開いてるけど、たまには気を抜くのもいいかなって思って」


「連日、研究漬けだろ?」


「うん。謙太も執筆が忙しいんでしょ?」


「まあな。連載抱えてるし、書き下ろしの単行本とか文庫本の原稿も執筆しないといけないし」
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