学生さん
「うん。まあ、でもここまで来るのが大変だった。少し頭休めないとな」


 謙太がそう言って、自転車が停めてある場所まで歩いていく。


 あたしも必携品を詰め込んだバッグを持ち、付いていった。


 あたし自身、歩きながらいろいろと考えている。


 疲れ知らずで研究し続けてきた。


 確かにあたしはアカデミーの世界で出世コースに乗ってると思う。


 でも、ふっと気を抜きたくなることもあるのだ。


 ずっとパソコンに向かっていると疲れるのだし。


 あたしはマンションの駐輪場に着くと、自転車のサドルに跨り、


「行きましょ」


 と言った。


 そしてペダルに足を置き、漕いで走らせる。


 あたしは久々に自転車に乗った。
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