学生さん
 普段は大学まで歩いて通っていたので。


 輝く海に来て、波間を見つめれば、また目が潤うだろう。


 ビーチは常に綺麗で、夏場だと泳ぐことも可能だからである。


 あたしは謙太と一緒に自転車を走らせた。


 ゆっくりと目的地の海岸まで行く。


 ビーチに辿り着くと、波間には数組のカップルがいて、あたしも最初は惑っていた。


 だけど慣れれば何ともない。


 あたしは自転車を停め、履いていたサンダルを脱ぎ、海岸線へと向かう。


 目の前には海が開け、あたしも彼も釘付けになっていた。


 あたしは裸足のまま、歩きながら思う。


「あっという間に時が流れるのね」と。


 謙太と知り合ってから、もう五年以上が経つ。


 お互い違う道を歩いていたのだが、あたしたちは十分満足できていた。
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