学生さん
 あたしはこれから開告大の院で博士課程を終えて、研究者になる道を選んでいる。


 彼は本職の推理作家として、作品を書き続けるつもりでいるようだ。


 互いに近くに住んでいるので、会おうと思えばいつでも会える。


 あたしは謙太と一緒に歩んでいくつもりでいた。


 まだ若いので、いろんな可能性を秘めている。


 あたし自身、その日は海岸デートを存分に楽しむつもりでいた。


 日常に舞い戻れば、また現実が待ち構えているので。


 研究職はやはり大変だ。


 しかも専門的なものになればなるほど。


 だけど、あたしはしっかりと地に足を付けて、歩いていくつもりでいた。


 それが一番いいと思えたからだ。


 学問の世界は一見綺麗に見えて、実際は汚いのだが、別に他人に媚(こ)びへつらうことはない。


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