学生さん
 あたしは卒業式の後、担当教官だった桃山に呼び出され、


「富岡君、君を助手に推挙(すいきょ)する話が教授会で出ててね。やる気はある?」


 と訊かれた。


 あたしは一瞬戸惑う。


 ドクターコースを終了してすぐに、そういった話が来るのが正直なところ嬉しかったからだ。


「ええ。お受けいたします」


「助かるね。岡元君には准教授になることを打診してるから。これからも我々の研究室を盛り立てていこう」


「分かりました。頑張ります」


 あたしが頷き、桃山のいる教授室を出ると、モモ研に行った。


 学部生や修士課程の学生が、


「富岡先輩、博士課程終了おめでとう」


 と言ってくれる。
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