学生さん
 あたしはモモ研で過程を終えたことを祝ってもらうと、すぐに建物を出た。


 持っていたバッグからケータイを取り出し、謙太の番号に繋ぐ。


 右耳に押し当てると、呼び出し音が数度鳴り、


「はい」


 という声が聞こえてきた。


 ――ああ、あたし。澪。


「おう。確か、今日開告大の院の終了式じゃなかったか?」


 ――ええ。ちゃんと修了証書も受け取ったし、学内がとても賑やかだわ。


「そう」


 ――何かつれないわね。どうかしたの?


「いや。考え事してて」


 ――何を?


「実は今年の七月に選考会が開かれる直木賞にエントリーされそうなんだ。俺の十二作目
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