学生さん
 あたしは四月の大学院の入学式まで時間があるので、持っていたパソコンで科目登録を済ませてしまった後、自分より学年が一年上で、すでに院の修士の二年になる大岩のケータイに電話した。


 しばらく呼び出し音が鳴り、


「おう、どうした?」


 といつもの声が聞こえてきた。


 ――ああ。あたし、今年開告大文学部の院に進学したから。またお世話になるわ。


「そうなんだ。誰に付くの?」


 ――河西(かさい)先生にお世話になるつもりよ。


「河西って、あの河西光雄教授?」


 ――ええ。英語の原書の読み方とか関連フィールドの研究法も河西先生から教えてもらったから。


「河西は厳しいらしいから、しっかりやれよ」


 ――うん。頑張る。

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