学生さん
第5章
   5
 レジュメを作り終え、パソコンに付属させたフラッシュメモリに保存したあたしは、キッチンに入り、コーヒーを一杯淹れる。


 謙太は今、離れた場所にいて、傍にはいない。


 だけど、大概朝ぐらいは大学構内で顔を合わせたりすることがあるのだ。


 あたし自身、そういったことに対して全く抵抗はなかったのだし……。


 昼になれば学食に駆け込むことが多かったし、あまりに混んでいれば、学内の売店で弁当などを買って、ベンチに座ってから食べたりしていた。


 あたしは当面の間、この大学にいて、河西教授にお世話になるつもりでいる。


 開告大も慣れてしまえば、そうでもない。


 確かに田舎の私大で人数ばかりが多い総合大学だったので、いろんな人が出入りしていた。


 あたしの住んでいるマンションは学生街にあり、全部の部屋が開告大生だ。


 あたしは昼間、部屋にいないことが多かったので、詳しいことは知らない。


 だけど部屋にいれば、プライバシーなどないに等しかった。
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