学生さん
 一瞬間を置き、大岩が、


「――これからも一緒にいような」


 と言った。


 ――ええ。ずっと一緒よ。


「それにしても君も院まで入ったんだね。大変だよ。文学部の院生なんて、普通に食べれないからな」


 ――分かってる。でも研究を続けたいの。


 あたしがそう返し、それから先、ケータイで話し続ける。


 あたし自身、部屋で窓を開け放ち、外に咲いている桜を見ながら大岩と会話した。


 というか、あたしも大岩と苗字で呼ぶのは止めて、名前の方である謙太と呼ぶことにしよう。


 あたしと謙太は大学時代から付き合いがあり、ずっと一緒にいた。


 彼は元々シャイなところがあり、あたしと付き合うときも、あたしが気遣いをしないといけないほど、恥ずかしがり屋の性格だ。

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