学生さん
第6章
    6
 それから数日が経ち、開告大も前期授業が始まった。


 あたしは朝になると、必要なものを持ち、自宅マンションを出る。


 午前九時にキャンパスの正門が開くので、学内に入って研究室まで歩き出す。


 河西教授の研究室は通称<カサ研>だ。


 あたしたち院生や助手、助教などがいて、日々英語の研究をしている。
 

「おはようございます」


 あたしが助手の白川美智香(みちか)に声を掛ける。


「ああ、富岡さん。おはよう」


 美智香は一年前、開告大の院の博士課程を修了し、今はここで助手として河西教授の研究の手伝いをしている。


 あたしも美智香のことは尊敬していた。


 元々帰国子女で、英語がペラペラだったから、開告大に入る際も英語はよく出来ていたようだ。

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