学生さん
 何せ彼女はオーバードクターしていなかったにしても、二十七歳である。


 同じ助手の岡元浩太と恋愛関係にあるのは、カサ研にいる皆が知っていた。


 仮に美智香が浩太と結婚しても、しばらくは働くだろう。


 大学の研究室で出会いがあるのは何もおかしなことじゃない。


 あたしも謙太と付き合っているのだし、大学に残った学生たちも当然ながらオープンに恋愛することがあるのだ。


 いつも同じ部屋の空気を吸っているのなら、別に不思議でも何でもないだろう。


 あたし自身、そんなことは常に感じているのだった。


 ゆっくりと焦らずに、研究を進めていく。


 謙太はあまり授業には来ないが、彼はサークル活動に熱中していて、院にこそいるものの、研究はそんなにしない方だ。


 あたし自身、毎日研究室でパソコンの画面に見入りながらキーを叩いたり、マウスを動かしたりして、英語の文献や資料などを探す。


 基本的に研究内容に今も昔も変わりはない。

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