学生さん
 それにサークルでも文学や文芸関係のものに入っていたのだし。


 あたしとはまるでタイプが違う。


 でも、謙太はまだ若い。


 おそらく院にいる間はサークル活動などを通じて、将来現実的に使える知識の方を勉強したいのだろう。


 いくら英米文学が面白くても、彼はそういったことに対して、ほとんど興味がないらしい。


 あたしはそんな謙太をずっと大事にするつもりでいた。


 互いにタイプが違うからこそ、惹かれ合う分もある。


 あたしはそう思って、彼との関係を大事にする気でいた。


 たとえあたしが学問の世界で上手くいって、謙太がその領域で上手くいかなかったにしても……。


 院の授業が続き、カサ研を始め、どこの研究室も賑い出す頃だ。


 キャンパス内に咲いていた桜は散って、葉桜となり、もう花は一年後しか咲かないにしても……。
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