学生さん
 だけど、そのうち心を開いてくれ、あたしと付き合うことに抵抗がなくなりつつあった。
 

 たとえ学部学科では先輩後輩でも、ほとんど対等に付き合えるようになったのだ。


 あたし自身、謙太と一緒にいて嫌なことはあまりなかった。


 あまりなかったというか、お互い同じ場所にいていろんな面が見えることで、対等に交際できるようになったというのが妥当な言い方か……?


 あたしのいる開告大はキャンパスが広く、学生人口は優に二万人以上いる。


 出会ったのは、入学した年の四月、学科内で開かれた新歓(しんかん)コンパがきっかけだった。


 あたしは学内の第二食堂で開かれたコンパに出席し、その席上で謙太と知り合う。


「おう、君、新入生?」


「ええ」


「一緒に飲まない?」


「はい」


 あたしが擦り寄ってきた彼と一緒にお酒を飲む。

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