学生さん
えられたものだからだ。


 大まかなところは変わりない。


 あたしの方が謙太よりも社会に出るのは遅れるかもしれないし……。


 その折、彼からケータイにメールが届いた。


 <俺、今年七月末締め切りの日本ミステリー文学大賞に公募してみるから>と。


 どうやら彼は推理小説を書きたいらしい。


 あたしは驚いていたし、同時に思っていた。


「謙太ってそんな作品書けるの?」と。


 あたしには一度も明かしていない才能だ。


 ミステリーを書くなどということが。


 しかも下限が原稿用紙二百五十枚以上で、上限は五百枚までらしい。


 しばらくは授業の合間を縫って、公募原稿を書くつもりでいるようだった。


 あたし自身、そんな謙太を陰ながら応援するつもりだ。
< 42 / 200 >

この作品をシェア

pagetop