学生さん
 下手すると、修士すらまともに出ずに中退するかもしれない。


 でも、あたしは作家を目指す彼がとても輝いていると思っていた。


 可能性に賭けるということだろう。


 どのぐらいまで伸びていくのかは分からないそれに。


 そしてその道で一旗上げようとしているのが、鮮明になった。


 先日送られてきたメールで。


 あたしは陰ながら謙太を応援するつもりでいる。


 しっかり頑張っているようだからだ。


 目的が推理作家という風に定まっているから、尚更ブレないと思う。


 あたし自身、毎日カサ研でパソコンを使って資料を読みながら、学部の授業や院の授業にも出続けていた。


 別に優等生になるつもりはないのだが、学費は支払っているので、元を取るためにしっかりと話を聞きにいく。


 研究者――とりわけ、あたしのように文学など人文科学系の学問をしている人間などだ
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