学生さん
 あたしは淡々とした毎日を送りながらも、研究すべきはしっかり研究していた。


 もうすぐゴールデンウイークに入って、学校自体が休みになる。


 もちろんカサ研も管理者である准教授や講師などが休むので、閉まってしまう。


 あたしは連休中は自宅マンションで、パソコンの画面を見つめながら、集めてきた資料を読み込む作業をするつもりでいた。


 まだ修士一年生である。


 研究に関しては脇が甘い。


 それに河西教授の講義に出るたびに、やはり碩学(せきがく)だと思い知らされるぐらい河西は英語に詳しい。


 確かにパソコンを縦横無尽(じゅうおうむじん)に使いこなすテクニックは学部の学生やあたしのような院生、それに助手の浩太や美智香の方が上だったが……。


 あたし自身、研究を積み上げながら、同時に得ていくものも大きいと思っていた。


 確かに大学院というのは授業数が少ない。


 しかも専攻ごとに分かれていて、あたしはコミュニケーション英語を選んでいた。

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