学生さん
 しっかりしていると言われればそうなのだが、あたしは開告大文学部の院に進学した以上、オリジナリティーな研究が当面の課題だと思っていた。


 それに奨学金なども満額借りていて、学費や生活費に充てていたので大変だ。


 謙太からメールは入ってきていた。


 <今、執筆中。頑張るよ>とか<ツイッターで呟いた>などと。


 彼は院生であることを利用して、モラトリアムを上手く使い、最終的にはプロ作家まで行き着くつもりでいるようだ。


 一口に作家と言ってもピンきりなのだが……。


 どういった人間が大成し、どういった物書きが文壇から消えていくのかは分からなかった。


 だけど一つ言えるのは、出した本が売れるか売れないかに関わらず、プロ作家は新聞や文芸雑誌、週刊誌などに連載を複数持ち合わせている。


 ほとんどの作家が本が売れなくて、入ってくる印税自体少ないので、そういった原稿料や他の仕事で稼いでいるケースが多いというのが本当のところだ。


 あたしはその手の話は以前雑誌で読んだことがあったし、最近はプロ作家がネットなどで小説を連載していると聞いている。
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