学生さん
 何せ、研究論文の代筆などは疲労感を伴うものだし……。


 昔は河西も散々してきたはずだ。


 平の研究員だった頃は。


 今でこそ、大学の教授職に収まっているが……。


 あたし自身、電子書籍を読みながら、思うことはいくらでもあった。


 今のトレンディーな作家たちの文体を読みこなしながら、


“小説なんかもだいぶ変わってきたわね”


 と感じるようになる。


 あたしは昔は欧米の古典ばかり読んできたが、最近は読書の傾向も変わりつつあった。


 今、ある程度部数が出ている本ももちろん読むが、そうじゃない作家で面白いと感じる作品を書き綴る人間たちの作品も多数読む。


 部数が出ていないというのは売れてないということだが、別にそんなことは関係ない。


 裏を返せば、百万部売れる作家の本がつまらないと感じることもあれば、初版が一万部とか一万五千部とかの作家でも面白い本は面白い。
< 58 / 200 >

この作品をシェア

pagetop