学生さん
むつもりだ。


 いつ、自分の研究業績が認められるかは分からなかったのだが、あたしはしっかりと頑張るつもりでいた。


 今から院生として最低でも修士課程の二年間があったし、更に研究を続けるなら、博士課程の三年がある。


 将来研究生活に専念できるかどうかは、この院生時代、時間を惜しむようにして研究した人間だけに与えられたものと思われたし、あたしはずっとそんなことばかり考え続けていた。


 また平時に戻れば、カサ研も学部生・院生で賑わう。


 あたしは研究を続けることを心に誓い、大学に身を置くつもりでいた。


 謙太はほとんど院の授業に来ない。


「大岩君は全然来ないね」


 河西が授業開始時に出席を取る際、そう言った。


 あたしも、他の院の一年生たちも苦笑いしてしまう。


 謙太が作家を目指していることは、文学部の英語学科内でも噂になっていた。
< 68 / 200 >

この作品をシェア

pagetop