学生さん
 すると頭がボサボサで髭が幾分伸びている彼が出てきて、


「ああ、澪」


 と言った。


「もしかして昼夜逆転とか?」


 あたしがいきなりそう訊いてみると、謙太が、


「図星。原稿書くのが大変なんだ。ネットなんかでいろいろと調べたりしてるし」


 と言い、


「上がっていく?」


 と言葉を重ねた。


「ええ。今日は部屋の片付けとかした方がいいわよ。散らかっちゃってるみたいだし」


「そうだな。俺もそう思ってた」


 彼がそう言って部屋の奥へと入っていく。


 テーブルの上にはノートパソコンが一台置いてあって、その脇の台の上にはプリンター
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