学生さん
第14章
     14
「ミステリー書いてるんでしょ?」


「ああ」


「学校にはしばらく来ないの?」


「うん。俺も河西の顔見るのが、あまり好きじゃなくて」


「じゃあ、当分は授業に参加しないのね?」


「そうだな。……まあ、最悪の形、中退って事もあるし」


「それじゃ食べていけないでしょ?」


「大丈夫だよ。俺、元々大学時代からバイトしてたし、今でもこの学生街の飲み屋とか焼肉屋なんかに馴染みの人が大勢いるから」


「要は院に未練はほとんどないって事ね?」


「ああ。俺も大学卒業して、最初は院で英米文学を研究し続けることを思い付いたんだけど、それも今はやりたいことじゃない。むしろ避けたいことかもしれないな」


「そんなに院に嫌気が差してるの?」
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