学生さん
「嫌気って言うか、河西の授業も元々あんまし好きじゃなかったし、俺自身、大学の文芸サークルで活動しながら、書く方が面白いって感じ始めたんだ」


 あたしが一緒のベッドの上でふっと話題を変えるように、


「最近読書はしてる?」


 とサラッとした感じで訊いてみた。


「あんまりしてないな。書店に行ったら文庫本とかは買うけど、書く方にシフトしてるから、書籍自体にあまり興味がないね」


「でも先輩作家が書かれた本を読まないと、分からないでしょ?」


「うん。まあ、それはそうなんだけど、俺自身、文芸賞に公募する原稿を書き綴るのがメインになってるし、その手の情報はネットなんかでいろいろと仕入れてるから」


「疲れない?単調な毎日で」


「確かにね。でも人間は生きてて疲れない人なんかいないよ。誰でも悩み事や心配事抱え込んでるし。それが普通だと思うな」


「そこまで悟りきってるのね?」


「ああ。別に俺自身、目が出るかでないか分からないような状況で執筆やってるし。それ
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