学生さん
に院も修士終わる前に中退して、バイトで貯めてた貯金叩(はた)いてから、並行して執筆やるつもりだから」


「粘るのね?」


「うん。簡単に諦められないからな」


「それはもしかして長年持ってた夢?」


「ああ。昔から文学や文芸に興味があって、たくさんの本を読み漁って今まで来たからね。書き物に専念するっていうのは大変な仕事だろうけど」


「やっと夢が現実化しつつあるのかな?」


「うん、そうだね。やりたいことが決まれば後はやるだけだし」


 謙太がそう言って笑った。


 あたしが、


「書き続けてれば、いつかきっと目が出るから頑張って」


 と言うと、彼があたしを抱き寄せ、キスする。


 抱き合いながら一夜を送った。
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