学生さん
 それから数日が経つ。


 五月も半ばになり、あたしは毎日、授業がある日もない日も大学に通い続けた。


 三月終わりに吹き抜けた春一番は遠い過去となりつつある。


 そしてまた蒸し暑い夏がやってくるのだ。


 授業がゼミ室などである以外はカサ研に待機して、パソコンのディスプレイを睨み続ける。


 確かに疲れるのだが、これが研究者の現実だった。


 あたしはほぼ毎日カサ研で、英語に関する文献や資料などを集めている。


 自分用のパソコンのバックアップのために、持ち歩いているフラッシュメモリは満杯になることがない。


 相当な量のデータが入る。


 あたしは淡々と研究生活を送り続けた。


 いつ日の目を見るかは分からなかったのだが……。


 それにマシーン相手だと、メンタル面で疲れるのだし……。
< 82 / 200 >

この作品をシェア

pagetop