学生さん
 可能性という名の引き出しはたくさんある。


 あたし自身、謙太が文芸賞に公募する生活をするのを応援する気でいたし、彼も学生さんという身から、早く脱却したいものと思われる。


 幸い、謙太は金銭感覚などはしっかりしていた。
 

 英語に絶望の念を覚えていたにしても、文学や文芸にはまだ興味があるわけだし、当然いろんなことを勉強しながら、更にキャリアアップを図るつもりなのだろう。


 彼ならきっと出来る。


 学生街でアルバイトなどをしながら、暇を見つけて原稿を書くことは。


 そしてあたしにとって五月はあっという間に過ぎ去ろうとしていた。


 半ばを過ぎたと思ったら、もう下旬に近い。


 暑さが増していく。


 特にこれからの季節は。


 半袖状態でいるので、日焼け止めはしっかりと塗っていた。


 肌に擦り込ませて。
< 90 / 200 >

この作品をシェア

pagetop