学生さん
第17章
17
海に着き、あたしたちは駐輪場に自転車を停めると、ビーチへ歩き出す。
そして広い海を見つめながら、砂浜の一角に座り込んだ。
ザーという波の音が繰り返し聞こえてきて、絶えず押し寄せてくる。
あたしが、
「謙太、疲れてない?」
と訊くと、彼が、
「ああ、まあな。原稿書くのもしんどいしね。でも、慣れたらそうでもないよ。それに作家目指す人間は誰でも原稿書くのに全く躊躇(ためら)いがないからね。むしろ進んで書くんじゃないかな?」
「あたしもそう思う。仮にプロになったら、原稿の依頼はいくらでも入ってくるだろうし」
「俺はそれ目指したいんだ。毎日、作品を書ける人間になれることを、ね」
「でも相当大変よ。あたしも想像がつかない。作家の私生活とか」
「まあ、ずっと原稿に向かってるだろうな。日長一日」
海に着き、あたしたちは駐輪場に自転車を停めると、ビーチへ歩き出す。
そして広い海を見つめながら、砂浜の一角に座り込んだ。
ザーという波の音が繰り返し聞こえてきて、絶えず押し寄せてくる。
あたしが、
「謙太、疲れてない?」
と訊くと、彼が、
「ああ、まあな。原稿書くのもしんどいしね。でも、慣れたらそうでもないよ。それに作家目指す人間は誰でも原稿書くのに全く躊躇(ためら)いがないからね。むしろ進んで書くんじゃないかな?」
「あたしもそう思う。仮にプロになったら、原稿の依頼はいくらでも入ってくるだろうし」
「俺はそれ目指したいんだ。毎日、作品を書ける人間になれることを、ね」
「でも相当大変よ。あたしも想像がつかない。作家の私生活とか」
「まあ、ずっと原稿に向かってるだろうな。日長一日」