magnet
体全体を包む温かさ。
パチクリ。と瞬き一回、二回。
「っ、これじゃあ、抱き締めてる……」
「だって、抱き締めたかったんです。先輩が触れるから」
「私のせいにしないでよ」
言葉は返って来なく、代わりに弱々しい力がこもった。
「ごめんなさい。俺、先輩が好きです」
どうして最初に謝るのか。そんな事はどうでもよかった。
その言葉は私の内を熱くさせて、パズルのピースがはまるように簡単にはまった。
「私も好きなんだと思う。多分」
「何ですかそれ。曖昧ですね」
「悪かったわね」
「でも、それでもいいです」
「何それ」
二人顔を合わせて笑い合って。こんな日が来るとは思ってなかった。
心が温かい。幸せって事なのかな?私らしくもないけど、それはそれで嫌じゃなかった。