magnet
降り出しそうなものは案外すぐに降ってくるものだ。
ポツリ。と冷たい水が落ちてきた。次いで無数の水が降り注いでくる。
「う……わ……降ってきた」
制服から肌へと水が染み込んでくる。
一気にじんわりと身体中を冷たい感覚が襲った。
「先輩呑気ですね走りますよ。これ被っててください」
「え?わっ!?」
グイッと力強く引っ張られたかと思えば頭に何かを被せられた。
パーカー……。
これで多少は濡れるのを防げる。代わりに朔が濡れるのに。
私は戸惑いながらもそれを深く被って引っ張られるままに走った。