magnet
「説明を……お願いします……」
俯きながら事態の説明を求めてくる。
これでは私が意地悪をしているみたいじゃないか。これっぽっちもそのつもりはないと言うのに。
「――どこまで覚えてる?」
「えー……っと。インターホンが鳴って鍵を開けて、先輩がいて……」
そこで口を止める。なるほどそこまでか。大半は抜けてる。
仕方ないと説明を簡略的に行う。
「――来たはいいけど、いても邪魔になるだろうし帰ろうとしたら、朔にベッドの中に引きずり込まれて今に至るわけ。分かった?」
「……な、何か言いましたか?俺」
「さぁ?」
と言えば朔は項垂れ始めた。
別に怒っているわけではない。少しくらい困ればいいとは思ってる。