magnet


自然と体は硬直していた。だけど目は相手をちゃんと捕らえている。


その仕草一つ一つでさえ追ってしまう。


「まさかこんな所で会うとは思わなかったな~~」


「それは、俺も同じだよ」


私はいない扱いなのか彼女は私を見ない。


ドクン。ドクン。と嫌な脈打ちが始まる。


「この間は久々に楽しかったよ」


「えと……うん」


申し訳なさそうな声色でチラリとこちらを一瞥する。私に気を使ってる?


彼女はクスリと笑って髪を耳に掛けた。


「っ――!?」


彼女には子供っぽい、ピンクの星のピアス。


時が、止まった。





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