magnet


一端家に帰って着替えを取りに行ってまた此処に戻って来た。


その日は独りが嫌だったから。


そして、朝起きてようやく携帯の電源を入れた。


普段殆ど入らないメールと着信がいくつか。ただ一人のその名前が表示されている。


どれ一つとして見ないで携帯を閉じ、学校へ行く準備を始めた。


学校に行って私は何が出来るだろうか。何を話せるだろうか。


この妙な鼓動を止める術を教えてほしい。


安心、させてほしい。


「……朔」


無意識に呟いた。


最近の私は独り言が趣味なのだろうか。


本当は呟くほどに心を占める割合が高い事だって分かってる。けど分かりたくなかった。


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