magnet
関係ないと否定をしてほしいわけじゃなかった。ただ、あの人の関係性を正直に言ってほしかった。
嘘も言い訳も何もいらない。本当の事だけが欲しかった。
確実にあの人は私を敵視していて、それ特有の嫌な感じがあるのに何もないなんてあり得ない。
今の朔は何かを隠しているようにしか見えなかった。それも私の気のせいだと言うのだろうか。
でも――
「――そう。ならいいよって言うか別に何でもいいんだよ。携帯切ってたのはそれとは関係ないし。……あ、そうだ。今日愛架の家に寄るから一緒に帰れない」
でも隠してるのは私も同じ。醜い感情を隠して話す。
朔はそれに気付きはしない。
分かったと頷いて笑う。
気付いては、くれない。
「予鈴、鳴りますよ?」
「あ、うん」
歯止めが効かなくなるくらい堕ちていく。暗いドロドロした感情の中に。
足掻いて、もがいて、堕ちていく。
結局、人は変われない。