magnet





「目、死んでる」


「は?」


いきなり開口一番に言われた。


教室に向かっている途中、窓の外にいた仁と出会った時の事だった。


「よっ……と」


何故か窓から校舎に入って来た仁はパタパタと足音を立てて私の前に立ちはだかった。


そして腰を曲げて私の顔を覗き込んでくる。


「目、死んでる」


表情も変えず再びその言葉。


そんな目をしていただろうかと目に触れてみる。が、当然分かりはしない。


代わりのようにある事を思い出した。


「……仁、前にも私に言わなかった?」


映像は出ないのだけれど音声だけが再生されるのだ。何処か気だるそうで気の抜ける音が聞こえるのだ。




< 148 / 215 >

この作品をシェア

pagetop