magnet


教室へ入ると案の定愛架が心配そうに眉を下げながらやってきた。


「遅かったねー。――湊く「仁に。……仁にそこで会って話してたんだよ。何か知らないけど窓から入ってきた」」


聞かれても話す自信もなくてわざと会話の邪魔をする。


目を見張るような仕草を見せたけどすぐに会話に乗ってきた。


いや、乗ってくれたって言った方が正しいかもしれない。


「そうなの?一年生の時からだからねー」


「そうだっけ?」


「うん。何でも、窓から入る方が近いんだって」


「変なの」


「ねー。あ、心菜あのさーー……」


心をチクリと何かが刺した。






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