magnet


なんとなく。なんとなくそんな感じはしていた。


うっすらとしていた予想が一気に色濃く現実となり襲いかかってくる。


「私が高二で朔夜が中三の時。高校生が中学生をって思われるかもしれない。でも好きだったから。大好きだったから」


「なら、どうして」


「私ね、つい最近まで語学留学してたの。それを朔夜に言わずに行って、別れようって
だけいったの。理由は分かる?」


フルフルと二回、力無く首を横に振った。


「きっと向こうに行ってすぐ会いたくなると思ったからなの。そんな弱音、他でもない私が許さない。……でもね、別れて繋がりが無くなって、もっともっと好きになったの」


だから、帰国してまた会いに来た。と、そう言った。


喧嘩別れとか険悪になって別れたんじゃない。片方は自らの決意のため。片方はきっと訳も分からず、好きなまま別れることになったのだろう。


「……っ」


勝ち目が、ない……?




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