magnet
坂上さんが留学の為に一方的に別れたのにまだ好きだから、また思いを告げると聞いて、正直何てエゴなのだろうと思った。
別れてからもっと好きになったからって会いにくるなんて。と思った。
だけどそれは今の私と同じ。
一方的に別れたのに前よりも大切さが身に染みてきている。所詮エゴ。最低な人間だ。
「心菜ぁ」
「っ、あ、仁。いつの間に居たの」
「今さっき来たとこ」
愛架の方を見れば昼ご飯を食べ終えている。少しトリップしてしまっていたようだ。
最近仁は毎日教室にやってくる。気を使ってくれてるのかもしれない。
そういうつもり、全くないのに。
「心菜。今日一緒に帰ろ」
「……珍しいね」
「確かに珍しいね」
本当、気とか使わせたくないのに。