ナツツバキ
ツバキ
緑の中で、風が私を包むようにして吹いている。

木々の間からは、太陽の光が差し込み、聞こえてくるのは川のせせらぎとセミの声だけ。


私は石の上に座り、目をつぶった。



――――――――――タッタッタッタッ

一定の音が、刻み込まれる。

辺りを、見回した。


「えっ…つ、ツバキ…?」

声のする方を見ると、川の反対側に目を大きく開き、ビックリした様子で私を見ている男の子が、そこにはいた。

「えっ?あっ…、うん。まぁ…ツバキたけど??」

男の子はさらに目を大きく開き、私の前から逃げるようにして、林の中へと消えていった。




――――――――――3日前

太陽が強く照りつける中、私は見覚えのある地におりたった。

見渡す限りは、田んぼとまっすぐに続く一本道。


私は、その一本道を歩いて、おばあちゃんの家へと向かった。



―――ピンポーン

「はーい。」家の奥から声が聞こえた。


―――ガラガラガラ

「あっ!!心夏久しぶり!」

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