モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語
未来へ。
*
「海ー、今日は入学式でしょ!早く用意しなさい!」
「わかってるよ!」
朝から母親の大声が響く。
時が経つのは本当に早い。
今日が大学の入学式という自覚はまだあまりなかった。
一年前、遥が転校してから
理子ちゃんや健二くん、それに冬樹君と今まで以上に仲良くなれて、
時間が経つにつれてクラスにも馴染んできた。
友達も増えて、陰口を言う人はいない。
それどころか、最近、告白をされることが多くなっていた。
短かった髪は伸び、大人っぽくなっている海は自然と人の目を惹く容姿に
なっていたのだ。
遥とは時間が合わず、あれから会っていなかった。
メールや電話は頻繁にしていたが、やはり寂しい。
「海、理子ちゃんが来てくれたわよ!」
「え!?もう!?」
海は慌てて鞄を持ち、玄関へと向かう。
「おはよ、海。」
「おはよー、ごめんね遅れて。」
「いいって!今来たところだし。」
靴を履き家を出て、学校に向けて歩き出す。
「今日から大学生って自覚ないなあ。」
「あたしも。・・・でも、4人一緒だからまだ安心ね。」
「だよね、同じ大学受かってよかった!」
「あ、そうだ。遥君はどこの大学受けたの?」
「それが、教えてくれなくて、わかんないの。」
「へー。」
理子はにやりと笑みを浮かべる。
それに気づいた海は理子を見て、首をかしげる。
「何か知ってるの?理子。」
「ま、入学してからのお楽しみね。」
「えー!?」