モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語
弟、告げる
「遥~?ごはんは?」
バタン!
母親を無視し、遥は自室に入りドアを乱暴にしめた。
いろいろな想いがまじりあって吐き気がしてきた。
「あー・・・。」
壁に寄りかかり、ずるずると座り込む。
海が好き。冬樹に嫉妬した。
海が変わっていく、冬樹が海に惚れる、両想い、付き合う。
「・・・。」
嫌だ、絶対嫌だ。
頭の中ででた結果に遥は泣きそうになった。
自分はただの双子の弟。
どうにもならない感情に苛立ってきた。
さっきだって、海に八つ当たりして困らせた。
こんなの子供と一緒だ。
(・・・どうしたら忘れられるだろ。)
きっとこれから、冬樹は海を手に入れようとしていく。
海も冬樹のために変わっていく。
(・・・なら、)
「俺も、変わればいいんだ。」
心が、スゥ、と冷めた気がした。
俺は何を勘違いしていたんだろう。
学校で海をかばって、助けようとして、
終いには彼女を変えようとした。
ちょっとした正義感のせいで、気づきたくなかった
海への想いを自覚してしまった。
ならばすべてなかったことにして忘れればいい。
遥は依然のように、学校で海とは赤の他人として接することにした。
(もう、関わらない。)