大江戸恋愛記
目覚めました
「……ん…」
「おお、気付いたか」
「…私……」
「倒れたんじゃよ、子供を庇った後に」
見慣れない天井と、さっきのおばあさんがぼやける視界の中に映った。
そういえば私、あの怪物に殺されそうになって、それで……
「っ!子供は大丈夫だったんですか?」
「これ、急に体を起こすでない。子供は無事じゃ、後に母親に連れられていったさ」
「よ、よかった…」
それを聞いて私は胸を撫で下ろした。
あんな小さな子が亡くなるなんて、胸が痛すぎる。
でも、安心したのも束の間で私はもう一つ気になることを尋ねた。
「あの…怪物は?」
「ん?ああ、死妖は凛が片付けた」
「凛…って、あの美形さんですよね?」
意識を手放す前、私の目に映ったあの後ろ姿は美形さんだったんだ。
「はっは、確かに凛は美しく映るだろうな。しかしまぁ、まさかあやつが助けるとは思わんかったが…」
私はおばあさんを見つめた。
その後にぐるりと中を見渡す。木造の一軒家で、私の近くには囲炉裏があり火がパチパチと音を響かせている。
もしかしてここは、おばあさんの家なのかな?
「ここはわしの家じゃ」
「わっ」
おばあさんの言葉に、心の中を読まれたのかと一瞬ひやっとした。