大江戸恋愛記
っていうか、おばあさんがここまで私を運んでくれたんだよね?
うわ…すごく申し訳ない。私は謝ろうと体ごとおばあさんに向いた。
「あの…おばあさんが私をここまで運んでくれたんですよね?すいませんでした。重かったでしょう?」
「何、心配ない。凛の奴がお前さんを運んだからな」
「え、ええ!?」
あの美形さんが?私を?
うわあ…それは、ちょっと…
「重かっただろうなぁ…」
「ん?」
「いや何でもないデス」
はぁ…ダイエットしとけばよかった…
がっくりしている私に、おばあさんは何かを思い付いたように私に微笑んできた。
「そういえば名を言っていなかったな。わしは梅。梅ばあちゃんとでも呼んでくれ」
「あ…はい。えっと私は…」
「紫苑じゃろ。先刻聞いたばかりであろ」
「あ、そっか…。えへへ、宜しくお願いします、梅ばぁちゃん」
「そんなかしこまらなくて良い。気軽に接してくれ」
そう言って優しい笑みを向けてきてくれた。
や、優しい…!
私はおばあちゃんにいい思い出がないから、何かすごく感動した。
私が感動の眼差しを送っていると、何か怪訝そうな表情で私を見てきた。
「あの…私に何か付いてます?」
もしかして、と顔に手をやるが、梅ばぁちゃんは首を横に振った。
「そうではない。……紫苑」
「…は、はい」
あまりにも深刻そうに見つめてくるものだから、つい私も身構えてしまった。
何を言ってくるのか分からなくて、生唾を飲み込む。
「おぬし……一体何処から来た?」