大江戸恋愛記

「はっ、すすすまん紫苑!」

「はは、い、いえいえ…何ともないっす…」


絶対元ヤンだ…梅ばぁちゃん。


「ほら、お前も謝れ凛!」

凛、と言われて私は少し大げさに反応してしまった。

なんか、顔合わせづらい…


特に何かあったわけじゃないんだけど、何でかな…。


私は恐る恐る顔を上げた。

すると美形さんは、とても綺麗な顔で私を睨みながら見下ろした。


「…んだ、まだいたのかテメェ」

そう言ってフイ、と顔を背けられた。


…ちょっと。感じ悪いな、この人。


「あー…すいません。今し方起きたもので…」


はは、と笑みを浮かべて言葉を述べる。

だめだめ。仮にも命の恩人なんだから。

広い心を持って接しなきゃ……



「んなこと聞いてねぇんだよ。さっさと消えろ、女」





プチン。






「おい、聞こえなかったのか?消えろっつったんだよ」

「おい、凛!よさないか!」

「ババァには関係ねぇだろ。んだよ、怖がってんのか俺に?はは、人間は弱っちぃぜ」


「…誰が…」



「あ?」





「……誰が怖がってんだよ馬鹿男が!!!」


「ばっ…馬鹿男だと!?」

「そうよ。アンタが馬鹿男よ!私が怖がってる?誰を?まさかアンタを?ばっかじゃないの!何で私がアンタを怖がらなきゃいけないのよ!こっちが感謝の気持ちを込めて会話をしようと思ったのに、アンタときたら何なのよ!消えろ?アンタにそんなこと言われる筋合いはない!何様のつもりなのよ!」


ここで一旦間を置く。
私の息が続かないから。
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