大江戸恋愛記
それは一瞬だけだったけど、私の興味を向けるのに十分だった。
この倉庫には天井近くの壁と、入り口付近の壁にしか窓はない。
どうしてあんなところに付けたんだろうと疑問に思うかもしれないけど、ごめん私も分からない。
でも窓は開いてないし、開いていたとしても…今の強い風は…
『…向こうから?』
私が歩いてきた通路の先。深い暗闇に包まれている。
懐中電灯を向けても奥には暗闇が続いていた。
何だろう。まさか奥にも窓が?
そう思って、気になりだすと止まらない性格が転じて、私は立ち上がりゆっくりと奥へ進んだ。
その時ほど私は自分の性格を恨んだことはない。