水曜日の彼女

心奪われる

 自分の気持ちを固めたものの、チカに気持ちを伝えられずにいた。

 アキラの言葉で躊躇してる訳ではない。

 告るチャンスはあったのだが、万が一振られた事を考えてしまって言い出せずにいたのだ。


 …ホント、情けねえ。意気地がないな、俺。


 時計を見るともうすぐ6時半。

 そう、今日は水曜日だ。彼女がやって来る。


 だけど先週までの俺とは違う。


 気持ちはチカにあるから腰を据えて待っていられる。


 ー 自動ドアが開く。


 冷たい風と一緒に彼女はやって来た。

 「いらっしゃいませ。」


 俺の目の前を通り過ぎた。

 …ほら、動揺してないだろ?今まで緊張してたのが嘘みたいだ。
 

 
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