水曜日の彼女

 「ヒデ。」


 呼ばれたので振り返るとチカが立っていた。


 「おう。」


 「…こないだはありがとう。ノート持って来てくれて。」


 「ああ。無事友達には貸せたのかよ。」


 「…うん。」


 「じゃあ良かった。」


 今日のチカはいつになく神妙な顔をしている。

 いつもは元気ハツラツしているのに。

 その原因はすぐにわかった。


 「あれから、望さんとどこかに行ったの?」

 チカは真面目な顔で尋ねてきた。


 「いや、家まで送ってもらっただけだよ。」


 「ホントに?」


 「嘘ついてどうすんだよ。あの時、帰るって言ってただろ。」


 「そうだけど…」

 チカが口ごもる。


 恋人同士でもないのにこの会話はなんだ?


 二人の間に変な空気が流れた。


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