水曜日の彼女

 「じゃあ望さんはただのお客さんでいいの?」


 「……」

 俺は黙っていた。


 チカに言うべきだよな。


 付き合ってた訳じゃないが友達以上の関係だったし、チカが気がある事も何となくわかってたしな。


 『思わせぶりなことはするなよ。』


 そうアキラに言われた事を思い出した。


 「違うんだ…」

 俺が口を開く前にチカが呟いた。


 「…望さんにとって俺はただのコンビニの店員だけどな。」

 俺は遂に口を割った。


 「最初は綺麗な人だなって憧れていただけだった。今は違う。もっと望さんに近づきたい。色々な事知りたいし、知って欲しい。」


 チカは黙って聞いていた。


< 57 / 58 >

この作品をシェア

pagetop