幼なじみ改造計画
 時々、考えちゃう。
 もし、わたしが、冬馬と幼なじみじゃなかったら……
 幼なじみっていう関係をわたしが持っていなかったら、きっと冬馬はわたしなんて見向きもしてくれない。
 オタク趣味があったって……それすらも、知らないまま。カッコいい、なにも知らない冬馬を見てるだけになるんだろうな。
 嫌だな、そんなの。
 幼なじみでよかった。
 ……そんな風に思うと、さらに空しくなる。

「おーい、お前の番だぞ~」

「ひゃ、冷たっ!?」

 顔にジュースを当てられ、気がつくと目の前に冬馬が居た。

「ほら、ジュース」

「……ありがと」

 ジュース買ってきてくれたんだ……
 いつの間にか投球を終えていた冬馬は、自分とわたしの分のジュースを持っていた。
 優しいよね、冬馬って……

「冬馬、変な事、聞いていい?」

「うん? なんだ、へんな事って?」

「もしさ、もしもだよ」

「うん」

「もし、わたしと冬馬が幼なじみじゃ無かったら、どうなってたと思う?」

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